空港(国内)の24時間営業について

空港

深夜などに急に「なんだかアイスクリームが無性に食べたい!」なんて気持ちに襲われることはありませんか?
そんな時は我らの心強い味方、コンビニエンスストア。
24時間どんな時でも常に明るい光を放つ清潔な店内に、顧客の多様なニーズに応える多様な商品群にはいつだって感服させられます。

これを旅に置き換えてみます。
例えば電車(新幹線や特急)。
電車は終電があるので、駅が24時間開いているわけではないということは、大抵の人がなんとなくでも知っている(理解できる)ことと思います。

では、空港はどうでしょう。

・・ということで、今回は、

空港は24時間営業しているのかどうか?

をテーマに話をしていきます。

意外と知らない人が多いのではないでしょうか。
日常的に必要な知識ではないかもしれませんが、これを知っていることで、いざという時(深夜に突然ドライブがてら空港に寄りたくなった時や、どうしても宿泊先が見つからず緊急避難的に空港で夜を過ごそうと思った時など)に貴方の窮地を救う知識となる・・・かもしれません。

空港は24時間営業しているのかどうか?

初めに・・

この記事で私が記載している「営業」は、空港の旅客ターミナルビル内のパブリックスペースが24時間開放されており、出入りと滞在が可能な状態にあることを指します。
ここに、旅客ターミナルビル内にあるテナント施設(コンビニエンスストアや飲食店、宿泊施設等)は含みませんのでご注意ください。

記事の途中で、この辺りに関連する話についてもう少し細かく触れていきますので、そちらも併せてご参照ください。

24時間営業している空港

さて、早速ですが最初に結論からいきましょう。

24時間営業している空港もあります。

ここでひとつだけ注意してほしいのは、24時間営業している空港「も」あります、ということです。
日本全国全ての空港が24時間営業しているわけではないということですね。

では、一体どれくらいの空港が24時間営業を行っているのでしょうか。

まず最初に、日本国内に存在する空港は全部で「97※」あります。
※2022年12月10日現在。国土交通省公表数。
※ヘリポート・非公共用飛行場除く


このうち、24時間営業している空港は羽田空港、成田空港、中部国際空港、関西国際空港 の4空港です。

日本国内における24時間営業空港
  • 東京国際空港(羽田)
  • 成田国際空港
  • 中部国際空港(セントレア)
  • 関西国際空港

感じ方は人それぞれとして、私は個人的には「少ない」と感じました。

特に明確な根拠はなかったものの、「空港は24時間営業」というイメージをなんとなく持っていたからです。
映画などで空港のベンチで夜を明かすシーンを見たことがあったり、時々世界のニュースなどで「空港の中で生活している人」を見たりしていたことが原因だったのかもしれません。

24時間営業空港の注意点

日本には24時間営業している空港があることは前述の通りです。
とはいえ、24時間営業といっても旅客ターミナルビル全館が端から端まで24時間開放されいてるわけではないということは注意が必要でしょう。

各空港ごとに、24時間開放されている旅客ターミナルビルの場所は異なります。
実際に空港で夜を過ごすなどの必要に迫られた時には、必ずその空港のHPを確認するか、空港職員に問い合わせてください。

24時間営業している各空港の旅客ターミナルビル
  • 東京国際空港(羽田空港)
    第2ターミナル(国際線のみ)、第3ターミナル
  • 成田国際空港
    第3ターミナル
  • 中部国際空港(セントレア)
    第1ターミナル(2階到着ロビー及びアクセスプラザのみ)
  • 関西国際空港
    第1ターミナル、第2ターミナル

    注意注意必ず各空港のHPなどで最新の情報を確認してください。
羽田空港国際線ロビー
羽田空港国内線ロビー

24時間営業 と 24時間運用


24時間営業している空港も一部存在するが、24時間営業している空港であっても、旅客ターミナルビル全館が24時間開放されているわけではないということが分かりました。
しかし、空港といえば全世界とつながっている玄関口であるわけだし、海外との時差もあるのだから、空港は24時間制限なく利用出来た方がいいんではないだろうか?という気持ちが個人的にはあります。

ここからの話をするにあたっては、「24時間営業」と「24時間運用」という概念が重要となってきます。

注意この記事では「営業」と「運用」という表現を使用していますが、私個人が分かりやすいと考えて記載しているだけで、規程等に定められた正式なものではありません。


実は、24時間営業の空港は上記の4つのみですが、24時間運用という意味ではもっと多くの空港が存在しています。
そしてこの24時間運用をすることで、日本以外の全世界と繋がっている玄関口としての空港の役割を最大限に活かしているのです。

では、【24時間営業【24時間運用の違いはなんでしょう。
この2つの違いについて話をする為に、前提となる日本における空港の基礎的構造を説明します。

<24時間営業><24時間運用>は意味が違う。
前者は日本国内4空港しか存在しないが、後者であればより多くの空港が存在する。

日本の空港の構造について

空港の建物・施設ごとの運営主体の違い

「空港」と一言で言っても、その中には様々な役割を持った建物や設備、施設がたくさん存在しています。
代表的なところだけでも、滑走路・誘導路・旅客ターミナルビル・駐車場・航空機格納庫・管制塔 など、他にもまだ沢山あります。

色々な施設や建物が集合している、というのは別に空港に限ったことではないかもしれません。
しかし、他とは違う空港ならではの特徴(?)があります。
それは、

空港を構成する施設や建物ごとにその運営を行う主体が別

ということです。

具体的には、例えば管制塔や滑走路・誘導路等の管理運営は国が行い、空港旅客ターミナルビルの管理運営は民間企業が行う、といった具合です。

同じ施設や設備、建物であっても、各空港ごとに管理運営主体が異なりますので一概にはいえないものの、概ねどの空港も、国や都道府県などの公的機関による管理運営施設・設備民間機関による管理運営施設・設備の2種の施設・設備・建物が存在します。
このあたりについては、国土交通省に分かりやすいイメージ図があるので添付します。

国土交通省「コンセッション推進に向けた取組・施策について」より引用

この図は空港の中にある代表的な施設・設備の管理運営が「国」と「民間」でバラバラになっているということを示しています。
資料では「国が管理運営」と「民間が管理運営」の2種類ですが、空港によっては「国」以外の公的機関が管理運営する場合もありますし、更に別の機関が管理運営する施設・設備が存在する空港もあるかもしれません。
なので、この図はあくまでも代表的な例の一つとして見るべきです。

この辺りの話は突き詰めていけばそれだけで記事が書けてしまうほど論点が多いので、概況の説明はここまでとさせていただくとします。

さて、様々な運営主体の異なる施設が集まって一つの「空港」を構成しているということが分かりました。
では、その結果として何が起きるでしょうか。

管理運営する主体(施設)ごとに管理運用細則が異なる。

端的に言えば、

空港の施設ごとに営業時間や運用時間が異なる。

ということです。

空港というのを巨大なショッピングモールとして考えると少し分かりやすいかもしれません。
ショッピングモールの中には様々な飲食店やサービス店舗がありますが、それぞれの運営主体ごとに開店時間も閉店時間もそれぞれ異なりますよね。
例】ほぼ全ての店舗が21時で閉店するが、深夜まで営業している居酒屋が数店舗だけある 等

空港も同じです。
旅客ターミナルビルは閉館(営業終了)するものの、貨物ターミナルビルや航空機格納庫などの施設は深夜まで運用している。
といったことが起こりうるわけです。

空港は一つの巨大なショッピングモールに似ていて、国や民間など別々の主体が管理運営する施設や設備の集合体といえる。
それにより、空港内の各施設・設備単位で営業時間や運用時間、開設時間が異なってくる

「旅客ターミナルビル営業時間」と「空港運用時間」

空港内の各建物や施設ごとに運営主体が異なるということを説明しました。
ここで【24時間営業【24時間運用の話に戻りましょう。

前項で触れた通り、多くの空港では、滑走路・誘導路・管制塔(航空管制)などのいわゆる航空機の運航や離発着コントロールを「国」などの公的機関が管理運営し、それ以外の旅客サービス全般としての旅客ターミナルビル・駐車場などを「民間企業」が管理運営しています。

このように管理運営主体が異なることで、旅客ターミナルビルの営業時間と、空港とその周囲での航空機の運航管理の運用(提供)時間を別々に定めることが可能なのです。

その為、旅客ターミナルビル自体は22時に閉館するが、航空機の離発着は24時間運用(実施)されている空港なども存在します。
もちろん、旅客輸送の航空機の離発着時刻が深夜早朝時間帯に実施されるのであれば、それに合わせて旅客ターミナルビルも営業(開館)する必要があるわけですから、原則的には航空機の離発着(運用)が24時間体制の空港においては旅客ターミナルビルも24時間営業(開館)です。

とはいえ、旅客輸送航空機の離発着時刻は各航空会社ごとにしっかり設定されており、日本国内における深夜早朝までびっしりと旅客輸送航空機の離発着が行われることはあまりありません。

深夜早朝の時間帯の運航のメインはなんといっても貨物輸送航空機です。
貨物のみを輸送する航空機ですから、旅客ターミナルビルの営業(開館)は必要がないというわけです。

このようなことから、旅客ターミナルビルは24時間営業していないが、空港としては24時間運用しているということが生じるのです。

旅客ターミナルビルの営業終了後も、24時間航空機が運航する空港は多い。

少し余談ですが、民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律(通称「民活空港運営法」)により、国内の空港の管理運営は大きく変わってきました。
今までの「国などの公的機関」と「民間企業」の管理運営という構造が徐々に変わりつつあります。

まとめ

空港ごとの旅客ターミナルビル営業時間や空港運用時間の調べ方

国内の空港には必ず「空港供用規程」があります。
この内容を見ることで、空港旅客ターミナルビルの営業時間や空港自体の運用時間まで知ることが出来ます。
この空港供用規程とは、空港の旅客サービスの種類や提供時間、空港の運用時間等を詳細に定めるものです。
国交省などのHPで一覧としてまとめているところがないか探していますが、現状そういったものは見つからないです。
各空港のHPに必ずリンクされているので探してみてください。
そんなに難しいことを紙一面にびっしり書かれているわけでもないので、目当ての空港の「空港供用規程」を眺めてみるのも意外と新しい発見があったりで楽しいと思います。

これは、東京国際空港の空港供用規程の一部です。
このように、空港の運用時間や設備の詳細がきちんと明記されています。
このあとの項目で、旅客ターミナルビルの営業時間などの顧客サービスについても説明されています。

ささささ

最後に

空港は様々な主体によって管理運営される施設や設備が集まっている巨大な複合施設です。
これによる課題や問題も確かに存在しており、その為の取り組みは既に国内全体で始まっています。
利用させていただく我々旅客の側からすれば、なにより分かりやすくて便利なサービスの提供をこそまず第一に求めたものと思いますので、新しい取り組みの成果に期待させていただきたいと思います。

旅を始めるにあたって、利用する際に不便に感じる(た)面や疑問に感じる(た)ことがあった時には、空港という存在の今の状況や構造を理解することで、良い解決策は勿論、新しい魅力を見つけることが出来るかもしれません。

旅の楽しさは、旅当日だけではありません。
旅に行こうと思いついたそのときその瞬間から始まります。
せっかく旅に出ようと思ったからには、端から端までどんな要素も存分に楽しみ尽くしていくのもおススメです。

まとめ

・空港における「旅客ターミナルビルの営業」と「航空機の運用」の時間は異なる。

・旅客ターミナルビルが24時間営業している日本の空港は一部の空港だけ。

・航空機の運用が24時間可な空港は、旅客ターミナルビル24時間営業の空港より少し多い。

コメント

タイトルとURLをコピーしました