初めて飛行機に乗る方や、乗った回数が少ない人の中には、「飛行機の中のトイレはどうなっているのかな?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
(余談ですが、筆者は胃腸が弱いので、トイレ事情については結構しっかり考えることが多いです。)
限られたスペースで設置されていることから、地上にあるトイレと異なる部分もありますので、慣れていないと戸惑うこともあるかもしれません。
そこでこの記事では、飛行機のトイレについての基本的な仕組みや、使用できるタイミングなどを解説していきます。
飛行機のトイレ事情を知っておいて、空の旅を安心して楽しみましょう。
飛行機のトイレの基本
トイレの場所と数
一般的に、飛行機のトイレは機内の前方・中央・後方などの複数箇所に設置されています。
もちろん、乗る飛行機の機材の大きさや機種によって数や場所が異なりはしますが、国際線や、国内線でも比較的標準(B737など)のサイズより大きい機材であれば複数設置されていることが多いので安心出来ます。
小用(男性)の有無
トイレは基本的に全て個室タイプで、男性向けのいわゆる「小用」は設置されていません。
性別や用途を問わず、すべての乗客が同じ設備を使うように設計されています。
飛行機は限られた空間を効率的に利用する必要があるため、用途別のスペースを確保できないということがその理由だと思われます。
個室タイプであれば誰でも使用することが出来ますので、トイレの数を効率的に配置することが出来るというわけです。
オムツ交換台
オムツ交換台も飛行機内に設置されている場合がほとんどで、赤ちゃん連れでも安心して利用できるよう配慮されています。
ただし、近距離路線向けの小型の機材や航空会社によって設置状況が異なるため、心配であれば事前に確認しておくことが大切です。
ちなみに、機内トイレの一部に折りたたみ式オムツ交換台として備え付けられているものが一般的で、使用しないときは壁に収納されており、必要なときに引き出して使用するタイプです。
ただし、全てのトイレ個室ではなく一部の個室にのみ設置されている場合もあるので注意が必要です。
どこにオムツ交換台が設置されているかどうかは、飛行機の座席の前ポケットに入っている「機内案内表示」に書いてありますし、分からなければ客室乗務員に尋ねておきましょう。
一方で、小型機や一部の航空会社など、トイレにオムツ交換台が設置されていない場合もあります。
その場合は、客室乗務員に相談すれば別のスペースを案内してもらえることがあります。
小型機の場合、短時間のフライトである路線が多いとは思いますが、安心して過ごせるようにするためにも、可能であれば事前に航空会社に問い合わせておくとよいでしょう。
飛行機のトイレは狭い機内スペースでも工夫がいっぱい
どうしても飛行機という限られたスペースなので、トイレも狭く感じるかもしれません。
しかし、特殊な排水システムが使用されており、また、シンクや鏡、折りたたみ式のオムツ替え台など、必要な設備をしっかりと備え、清掃も頻繁に行われているため、長時間のフライトでも清潔な状態が保たれています。
基本的には地上の水洗トイレと同じように使用出来ると考えて問題ありません。
■飛行機のトイレの仕組み
飛行機のトイレでは、真空式(バキューム式)と呼ばれる排水システムが採用されていることが一般的です。用を足した後、レバーやボタンを押すと「ゴォッ」と大きな音がするのは、この真空によって一気に排水する仕組みのためです。
地上の水洗トイレのように大量の水を使わず、機内の限られた水を効率的に使う工夫でもあります。
少し脇道にそれて、トイレの仕組みについて簡単にご紹介します。
仕組み
- 排水の流れ
- トイレを使用した後、排水ボタンを押すと、真空ポンプが作動し、トイレのボウル内に溜まった排泄物や使用済みの水を一気に吸い取ります。
- 排泄物は強い吸引力で、管を通じて飛行機内の専用タンクに送られます。
- 真空の力を活用
- 真空式トイレは、従来の水洗トイレのように大量の水を使わずに、強力な吸引力で排泄物を流します。これにより、水の使用量を最小限に抑えることができます。
- 機内の気圧やエンジンの動力を活用して効率よく動作します。
- 専用タンクでの収集
- 排水物は、飛行機内に設置された密閉型の廃棄物タンクに一時的に保管されます。
- 地上に到着後、専用の設備で廃棄物を処理します。飛行中に排泄物が外部に放出されることはありません。
特長とメリット
- 水の使用量が少ない
- 真空式トイレは1回の使用でわずか約0.5~1リットルの水しか使いません。地上のトイレに比べて水の使用量が圧倒的に少ないため、飛行機の限られた水資源を効率的に活用できます。
- 環境への配慮
- 排泄物が直接外部に排出されることはなく、専用タンクで安全に管理されます。地上に着陸後、環境に配慮した方法で処理されます。
- 高高度での機能性
- 通常の水洗トイレは地上の大気圧を前提に設計されていますが、高高度での低気圧環境では正常に機能しません。真空式トイレは気圧の影響を受けにくく、飛行中でも安定して使用できます。
- 軽量化と燃費効率
- 水を多く搭載すると飛行機の重量が増し、燃料消費も高くなります。真空式トイレは少量の水で機能するため、飛行機全体の燃費効率を向上させます。
使用時に発生する「大きな音」の理由
真空式トイレは、排水時に大きな「ゴォーッ!」という音がしますが、これは、強力な吸引力の真空ポンプが作動し、管内の空気と排泄物を一気に吸引するためです。
真空の力を使って瞬時に排泄物を吸い取るため、わずか1~2秒で排水が完了します。この際、空気が急激に移動することで音が大きくなるというわけです。
地上のトイレとの違い
真空式トイレと地上の通常の水洗トイレ、どちらも使用方法に大きな違いはありませんが、せっかくなので双方の違いを簡単にまとめてみました。
項目 | 地上の水洗トイレ | 飛行機の真空式トイレ |
---|---|---|
水の使用量 | 約6~10リットル/回 | 約0.5~1リットル/回 |
排水方法 | 水の流れで排泄物を流す | 真空吸引で排泄物を吸引 |
排水物の行き先 | 地中の下水道管 | 機内の専用タンク |
使用時の音 | 比較的静か | 大きな吸引音がする |
真空式トイレの注意点
高度な技術が使用されている飛行機のトイレですが、ちょっとした注意点も存在しています。
- 流せるものは限られる
真空式トイレの配管は繊細で、備え付けられているトイレットペーパー以外のものを流すと詰まってしまう恐れがあります。
例えば、オムツや生理用品などは必ず備え付けのゴミ箱に捨てるようにしましょう。 - 使用時のロック確認
トイレ個室のドアがしっかりロックされていることを確認してください。トイレを使用した後の真空吸引の圧力で個室のドアが揺れる場合があります。
飛行機のトイレを使えないタイミング
離着陸などのシートベルト着用サイン点灯中は利用不可
飛行機に搭乗している間、機内のトイレを常に使うことが出来るというわけではありません。
安全の為、搭乗中にトイレを使用出来ないタイミングがあることを理解しておきましょう。
具体的は、飛行機の離陸時と着陸時です。
これらの間は、機内に「シートベルト着用サイン」が点灯し、自分の座席から動くことが出来ません。当然、トイレに行くことも出来ないので注意しましょう。
また、離発着時以外でも、飛行中に気流の関係等で激しい揺れが想定されるなどの場合に、パイロットの判断で臨時で「シートベルト着用サイン」が点灯する場合があります。
この場合もトイレに立つことが出来なくなるので覚えておきましょう。
離発着時と違い、事前に発生するかどうかを予測することは困難ですが、離陸前などに事前に機内アナウンスで告知してくれる場合もありますので、機内アナウンスには耳を傾けることをお忘れなく。
機内サービス中などは混雑しやすい
機内食の時間や、座席に機内食のテーブルが出ているタイミングは通路が混雑しがちです。
使用出来ない時間帯ではありませんが、念のため、頭に入れておくのがベストでしょう。
自分の席が窓側などであると座席を立ちにくい雰囲気もあると思うので、機内食サービスが始まる前に予めトイレを済ませておくなど出来ればスムーズですね。
とはいっても生理現象ですから、無理をして我慢することはありません。
どうしても隣の席の人に声をかけにくければ、客室乗務員さんを呼び止めてさりげなく話をすれば手助けしてくれますし、それ以前に、飛行機を利用する搭乗客の人達もそういう状況を理解してくれている人が大半なので、気兼ねせずに利用しましょう。
せっかくの楽しい旅を辛い思い出にしない為にも!
トイレが近い人でも安心!快適に過ごすためのポイント
座席の位置を工夫する
普段からトイレが近いな、と感じている方や、実際に頻繁にトイレに行くという方は、飛行機の座席指定で通路側のを指定したり、機内のトイレに近い座席を選んだりするのが便利です。
航空会社によっては有料で座席指定が必要な場合もありますが、基本的に座席の指定はどの航空会社でも可能なので、自身の体質やフライトの時間などを加味して検討すると良いですよ。
揺れているときは片手で壁やハンドルを支える
飛行機が揺れると、トイレ内でもバランスを崩しやすくなりますので、用を足す際や立ち上がるときには、片手を壁やハンドルに添えると安全です。
トイレ内には専用のハンドルが備えられている場合が多いので、活用してください。
そんなこと言われるまでもない!なんて思う方もいるかもしれませんが、飛行機は突然大きな揺れが起きることも往々にしてあるので、意外と大切なことなんですよ。
オムツ替え台や子供用設備もチェック
赤ちゃん連れの場合、飛行機の機材の多くは折りたたみ式のオムツ替え台がトイレ内に設置されているのは、先に紹介しました通りです。
機材によっては狭く感じるものもあるかもしれませんが、限られたスペース野中で効率的に作業できるよう計算されているので安心して利用しましょう。
オムツ交換台だけでなく、小さなお子さんがトイレを使いやすくなるような設備(子供用便座など)が設置されている場合もあるので、不便を感じた時は遠慮なく客室乗務員に相談してみるのが良いです。
汚れを見つけたら遠慮なく客室乗務員に報告
トイレが清潔でない場合や、トイレットペーパーやハンドソープが切れていると気づいた場合は、気兼ねなく客室乗務員に伝えてください。
大抵の場合は迅速に対応してくれますし、そうすることによって、次の利用者の方にとっても快適な環境が整います。
そういったことがないように高頻度で清掃をしてくれることが多い飛行機のトイレですが、長時間のフライトともなるとトイレの使用頻度も高まることから、使用するタイミングによっては衛生面が気になることがあるかもしれません。
ちょっとした策として、ポケットサイズの携帯消臭スプレーやアルコールウェットティッシュなどを持参しておくことで少しでも快適に利用できます。
水流音が大きいのは普通
初めて飛行機のトイレを使うとき、「ゴォーッ!」という音の大きさに驚くかもしれません。
これは真空式排水システムによるもので、決して故障ではありませんので安心してください。
限られたスペースの中で最大の効率と衛生面を考慮したハイテクのトイレです。
その仕組みについて上の章で紹介していますので、興味があれば是非読んでみてください。
機内のトイレが「混む時間帯」を避ける
飛行機のトイレが混雑しやすい時間帯を知っておけば、利用時に待つ時間を減らせますね。
混在しやすい時間帯は一般的には、
- 機内食サービスが始まる前
- 着陸前
が挙げられます。
特に、着陸前は飛行機のトイレが使用出来なくなる時間帯の直前でもあります。
必ずしも混雑するわけではありませんが、出来るなら空いているうちにトイレを済ませておければスムーズです。
生理現象ですので、なかなか理想通りにはいかないものですが・・・
飛行機のトイレ利用時に覚えておきたい基本的なマナー
飛行機のトイレは沢山の人達が利用する共用設備です。
飛行機に限った話ではありませんが、利用者である私達全員が気持ちよく利用出来るようにする為にも、基本的なマナーを守るようにしましょう。
まとめ
飛行機のトイレは地上のトイレと比べると少し狭く感じるかもしれませんが、真空式の排水システムやコンパクトながらも必要な設備が整った便利な空間です。
使用できるタイミングには制限があり、特にシートベルト着用サインが点灯している間や離着陸の前後は利用できない場合が多いので注意が必要ですが、基本的には地上の水洗トイレと同じように使用することが出来ます。
長時間のフライトや、初めてのフライトなどで、トイレ面に不安を感じる方がいるかもしれませんが、飛行機のトイレは複数あって普段通りに使用が出来ますので、何も気兼ねせずに安心して利用してください。
快適な空の旅を満喫しましょう!
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