皆さんは京浜東北線という電車(路線)を知っていますか。
関東に住んでいる方には馴染みがあると思います。
実はこの名称、正式な路線名ではないって知っていましたか!?
駅のアナウンスや電光掲示板でもしっかり「京浜東北線」と呼称されているので、正式な名称だと思っている方が多いのではないでしょうか。
京浜東北線とは通称であり、その正式な名称は「東北本線」と「東海道本線」※区間によって名称が異なるなのだそうです。
それが今やJRも用いるほどに市民権を得ていったのだとか。
そんな名称にまつわる話が、空の玄関口である空港にもあります。
京浜東北線の例と異なり、空港の場合は「通称」ではなく「愛称」として呼称されることが多いのですが、正式な名称とは異なる名称を持っているという点では同じです。
今回はその中でも、ちょっと変わった愛称を持っている空港を5つ、私の独断と偏見で紹介していきます。
面白い愛称の空港5選
宮崎ブーゲンビリア空港(みやざきぶーげんびりあ)
まず一つ目は宮崎ブーゲンビリア空港です。
正式名称は「宮崎空港」。宮崎県宮崎市にあり、国が設置し管理している空港です。
ブーゲンビリアってなんだろう?という思いを持ちつつ調べてみると、これは花の名前でした。
宮崎ブーゲンビリア空港という名前の由来は、宮崎空港振興協議会のHPによれば次の通りです。
ブーゲンビリアは県観光の父と言われた岩切章太郎氏が普及に努めた花で、宮崎空港のシンボル的存在であり、また、南国をイメージさせる花であり、本県の温暖な気候や温和な人々の心、温かなおもてなしの精神を表しているとして、3,048件の応募の中から選定されました。
宮崎空港振興協議会HP「みやざき空旅」 より引用
開港60周年を記念して全国から愛称を公募した結果なのですね。
岩切章太郎さんは宮崎観光の父と呼ばれた、宮崎空港ビル株式会社の初代社長です。
ブーゲンビリアは、そんな岩切さんが宮崎の景観づくりの一環として普及に努められた花で、宮崎空港でも自社で栽培し空港をブーゲンビリアで飾り付け、県民に苗を配布するなど(累計で5千本超)長年普及に取り組んでこられたそうです。
余談ですが、「県公報みやざき」によれば、愛称公募で応募の多かった順は「フェニックス」「神話(の里)」「ひむか」で、「ブーゲンビリア」は12番目なのだとか。(※県広報みやざき「知事コラム」より)
そこから沢山の議論が重ねられた結果としてブーゲンビリアが選ばれたのだから、その名称に掛けたる想いの強さたるや、、といったところでしょうか。
余談ついでに面白い話も。
どうやらこの名称については、地元民の方にも結構な話題となっているようです。
「ロゴの字体や色のせいで、ラブ〇テルに見えてしまう。」だとか、「アナウンスを聞いたら、一瞬乗る飛行機を間違えたかと思った」など、面白いエピソードが並んでいます。
空港が地元民に愛されているということが非常に伝わってくること間違いありません。
鳥取砂丘コナン空港(とっとりさきゅうこなん)
二つ目は鳥取砂丘コナン空港。
正式名称は「鳥取空港」。鳥取県鳥取市にあり、鳥取県が設置管理する地方管理空港です。
コナンというと、思わずあの国民的某推理アニメの主人公(探偵)をイメージしてしまうのではないでしょうか。
でも安心してください。
この「コナン」は、紛れもなくあの青山剛昌さんの漫画作品である「名探偵コナン」のことなので。
鳥取市内にある空港の名前は「鳥取空港」?
— からくり堂 (@kallakuli) January 21, 2023
否、「鳥取砂丘コナン空港」! pic.twitter.com/v1gEfGErQ1
鳥取空港においても、鳥取県を代表する観光地「鳥取砂丘」と北栄町出身の漫画家・青山剛昌氏の人気作品「名探偵コナン」が持つ全国的な知名度を生かして、鳥取空港を全国に発信するため、愛称を「鳥取砂丘コナン空港」とすることを目指し、鳥取空港にキャンペーンを告知する看板を設置したり、各地のイベントでチラシを配布するなど、県民の皆様や観光客への周知・啓発活動を行いつつ、アンケート調査を行ってきました。
鳥取県 公式HP「鳥取空港の愛称が『鳥取砂丘コナン空港』に決定しました。」より引用
鳥取空港の利用を促進する懇話会(会長・藤縄匡伸鳥取商工会議所会頭)では、平成26年11月12日に臨時総会を開催し、鳥取空港の愛称を「鳥取砂丘コナン空港」とすることを正式に決定し、翌13日には鳥取県知事に対して愛称決定の報告とともに、空港装飾の整備や一層の利用促進について要望されました。
公募という形ではないものの、地元住民の方や空港利用者にアンケートを実施するなどして名称候補を集め、鳥取空港の利用を促進する懇話会という経済団体によって議論された結果、2015年に命名されました。
名探偵コナンの作者・青山剛昌さんのご出身は鳥取県だったんですね。
そんな鳥取砂丘コナン空港はその名前のインパクトもさることながら、名前に偽りなしと言えるほどに徹底した「名探偵コナン」愛を感じられる空港となっています。
名探偵コナンアートギャラリーから始まり、登場人物と写真を撮れるフォトスポット(作者・青山さんの直筆サイン入り背景あり)、コナンが鳥取県の観光地を紹介するコナンナビゲート(説明ボード)、コナンのトリックアート、喫茶ポアロ、阿笠博士の発明品を展示しているコーナー、お土産品を販売するコナン探偵社など、ファンでなくても充分楽しめる充実ぶりです。
空港というより、名探偵コナンミュージアムと言ってもよいくらいでしょう。
じゃらんのHPである「じゃらんニュース」がすごく詳しいので、一度サイトを覗いてみてください。写真もセットで掲載されていて現地で感じるワクワク感を疑似体験出来ます。
幸せすぎるかよ😭😭😭😭😭😭
— しゃー (@te_n_to_) January 23, 2023
鳥取砂丘コナン空港にやっと!
やっとこれました!!!!!#名探偵コナン#コナン#鳥取砂丘コナン空港#青山剛昌 pic.twitter.com/V6QU7BYFfP
出雲縁結び空港(いずもえんむすび)
3つ目は出雲縁結び空港です。
正式名称は「出雲空港」。島根県出雲市に設置されている空港で、島根県が管理する地方管理空港です。
島根県といえば、良縁祈願(縁結び)の神様である「大国主大神」を祀る出雲大社は有名ですね。
全国から縁結びの為に参拝者が数多く訪れたそうです。
それがきっかけだったのか?は分かりませんが、島根県には今も沢山の縁結びスポットが存在していて、ご縁の国しまねとして有名です。
そんな出雲大社の近くに存在するということから、出雲空港の愛称が住民からの公募で決定しました。
平成22年には、「ご縁の国しまね」に因み、利用者の皆様とのさらなる縁を結ぶことを願
島根県 「出雲縁結び空港」紹介パンフレット より引用
い愛称を「出雲縁結び空港」に決定した。
ご縁の国しまね、らしさを感じられる素敵な愛称だと思います。
空港を利用する人達へ「いいご縁がありますように」という願いも込められているそうです。
島根県全体が縁結びの国なので、県内には沢山の縁結びの名所が存在しているのは先に紹介した通りですが、ここ出雲縁結び空港もその名前に負けないくらい様々な縁結びスポットが中に設置されています。
しっかり探さないと分からないスポットや、踏むとご利益があると噂のパワースポットなど、空港内のあちこちに散りばめられた縁結びスポットを探して歩いてみるのもきっと楽しいですよ。
空港内や県内の縁結びスポットを特集した記事をリンクしておきます。
皆様こんばんは✨#出雲空港 (出雲縁結び空港)に到着いたしました〜😆#島根県観光キャラクター #しまねっこ が、お出迎え♡
— 朝花 美穂 Official (@asaka_miho) November 22, 2018
可愛い〜🤭
素敵なご縁がありますように…。 pic.twitter.com/SAQnKxUtxS
おいしい山形空港(おいしいやまがた)
4つ目はおいしい山形空港です。
正式名称は「山形空港」。山形県東根市に設置されていて、国が建設し山形県が運用している特定地方管理空港です。
面白い名称ですよね。
ここまで紹介してきた空港では、空港が設置されている地域をイメージしたり連想が出来るような名称がセットになっていましたが、山形空港では一体なぜこのような愛称となったのでしょうか。
おいしい山形空港のHPで由来が説明されています。
2月17日~4月11日まで実施した山形空港・庄内空港の愛称募集には、県内外から3,741通のご応募をいただきました。
おいしい山形空港 公式HP「空港情報」より
最も多くの応募は、庄内空港同様、さくらんぼ、つや姫、芋煮、吟醸酒、米沢牛をはじめとする「食」に関するものでした。
我が県は、四季の変化があざやかで、冬の雪はやがて豊かな湧き水となって肥沃な土壌を潤し、年間・昼夜の温度差が大きいことで、米をはじめとする農産物の栽培に適した条件を備えた地として広く知られております。
また、今回の応募の中には「食」以外にも、蔵王、月山、最上川をはじめとする雄大な「景色」、花笠踊りをはじめとする歴史ある「祭り」、すべての市町村に湧き出る「温泉」など、実にたくさんの魅力に関するご提案をいただきました。
「おいしい」という言葉には、「味が良い」という意味だけではなく、「好ましい」、「見事だ」という意味があります。
「食、景色、祭り、温泉などすべてがおいしい。」そんな思いを込めて、愛称を「おいしい山形空港」に決定しました。
おいしい山形空港、の愛称は住民の皆さんからの公募で決まった名称なんです。
平成26年2月17日~4月11日で公募したところ、県内外から実に3,700通以上の応募があったそうです。
ちなみに、山形県には山形空港の他に庄内空港という空港も存在していて、この庄内空港の愛称も山形空港と同時に公募したという経緯があります。
この時、庄内空港の愛称も「おいしい庄内空港」に決定していますから、山形県が誇る沢山の優れた「食」や「景色」「祭り」など全ての特色をなんとかまとめて表現したいという強い思いを感じられる名称ですよね。
1つの県内に2つの空港を擁するということ自体は特段珍しいことではありませんが、設置されている空港の愛称が同じ(「おいしい」の部分)なのは山形県だけでしょう。
更に、2つの空港の愛称を同時に指定したという経緯もあって、「名称が似すぎていて空港を間違える」という声もあるのだとか。。
山形県のHPで「県民の声」としても挙げられていました。
山形県にはとにかく優れたものが多くあり、その中からどれか一つだけを選ぶことは出来ない!という想いを感じられる愛称です。
その想いの強さが、県内の2つの空港に同じ愛称を付けることに繋がっていると思えるので個人的には納得出来るところですが、これはなんとも悩ましい話です。
✈ #おいしい山形空港 では、旬のおいしい情報を皆様にゆる~くお届けしてまいります✈
— 🍒おいしい山形空港✈️🍀 (@yamagataairport) February 1, 2023
Homepagehttps://t.co/TXmmWoLwgj
富山きときと空港(とやまきときと)
5つ目は富山きときと空港。
正式名称は「富山空港」。富山県富山市にあり、富山県が建設から管理まで行っている地方管理空港です。
きっと多くの人が同じ疑問を持つのではないでしょうか。
きときとってなんだろう?と。
きときと とは、「新鮮な」という意味の富山県の方言です。
富山きときと空港のHPを見てみると、このように記載されています。
富山の新鮮な海の幸などの魅力を発信することを目的に、全国で初とのなる方言を愛称に使用した空港となりました。
富山きときと空港 HP「富山きときと空港のひみつ」 より引用
少し補足しますと、富山県置県130周年記念事業の一環で富山県が愛称を公募した結果として決まった名前です。
ちなみに最終候補案として、「富山らいちょう空港」や立山連峰を連想させる「とやまアルペン空港」、「とやまアルプス空港」などもあったのだとか。
おいしい山形空港と似ていて、富山県の魅力をどれか一つではなく全てもれなく内包したい、という想いが伝わってきます。
この富山きときと空港、空港施設自体はそこまで大きな空港ではありませんが、他の空港にはないような特徴があります。
それは、全国で唯一の河川敷に設置された空港であるという点です。
河川敷ということは滑走路のすぐ傍が川ということですから、川の反対側などから空港を見るとまるで飛行機が川に飛び込んでくるように見えます。
富山空港は特徴のある空港です。写真を見ていただければ一目瞭然、滑走路や駐機場が河川敷にあります。飛行機から降りた客さんは、長い橋を渡って堤防の外にあるターミナルビルまで歩きます。右奥が富山市街です。(吉) pic.twitter.com/0R8JsCYPAn
— 朝日新聞航空部 (@asahi_aviation) June 3, 2013
他にも、その特殊な立地であるゆえに、「ボーディングブリッジ(旅客ターミナルビルから航空機に乗るまでに通る可動橋)が日本一長い」、「一部の航空機の駐機の仕方が特殊」など珍しい光景を沢山見られることから、航空機(空港)好きの人たちにとっては結構有名な空港です。
富山きときと空港の設置されている河川敷は神通川という川なのですが、ここはシーズンになると鮎釣りを楽しめるようです。
空港からすぐに釣りに行けるアクセスの良さは釣り好きにとっても嬉しいポイントですね。
他にも面白い愛称の空港がある
日本全国にある少し変わった愛称の空港
紹介した5つの空港の他にも、日本には変わった愛称を持つ空港がまだまだあります。
意外すぎる?といった愛称ではないものの、その県の特色を感じやすいことは間違いなしで、思わず実際に立ち寄ってみたくなるものばかりです。
それらの空港のほんの一部ですがここで紹介します。
空港に限定してみましたが、飛行場と呼ばれる規模まで含めると、実は更に特色のある愛称のところもまだまだあります。
いずれそれらの空港についても紹介していきたいと思います。
皆さんも旅を企画する時は、是非、通過点として空港を見るのではなく、一度はインターネットでその空港の名前を検索してみてください。
きっとその地域の特色をこれでもかというくらいにぎゅっと詰め込んだ素敵な場所がそこにあるはずですから。
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