ビジネスホテルとシティホテル。種類の違いは何?

ホテル

旅の魅力や醍醐味は様々です。
例えば旅先で見つけられる美味しい食べ物や息をのむような素敵な景色は言うまでもありませんが、旅先の見知らぬ土地で過ごす宿も、非日常感を楽しめる旅の醍醐味の一つといえます。

宿には実に沢山の種類があり、その土地や宿自体の種類によって様々な特色があります。
そんな数多ある宿の中でも、温泉地などの観光地に限らず日本全国ほとんどの場所に存在し、旅の目的地だけでなくビジネスで利用する宿泊先としても万能なのがビジネスホテルやシティホテルと呼ばれる宿です。
ところでこの「ビジネスホテル」と「シティホテル」。名前は似ていますが、いったいこの2つのホテルにはどのような違いがあるのでしょう?

ここでは、「ビジネスホテル」と「シティホテル」の違いについて紹介していきます。
両者の違いを理解することで、旅やビジネスの際の宿選びがほんの少し楽しくなる(かも?)しれません!

ビジネスホテルとシティホテルの違い

ビジネスホテルとシティホテルの定義はある?

ビジネスホテル、シティホテルと、いずれの表現も確かに存在しており、表現ごとに使い分けもされています。ところが、「ビジネスホテル」と「シティホテル」という名称には法律上(旅館業法)の明確な区別はなされていません。
厳格な定義分けもされていないので、使い分け方については少々曖昧な部分が拭えないというのが実際のところです。

参考として辞書でどのように記載されているのかを見ていきましょう。

デジタル大辞泉

■ビジネスホテル
 主に出張のビジネスパーソンを客とするホテル。交通の便のよい所に立地し、料金は比較的安い。
■シティホテル
 都市の中心部にあるホテル

これだけでは明確に使い分けることは難しいと言えます。
更に、公的機関である観光庁が行っている分類も見てみましょう。

~以下の定義により3種類に分類しています。
リゾートホテル…ホテルのうち行楽地や保養地に建てられた、主に観光客を対象とするものをいいます。
ビジネスホテル…ホテルのうち主に出張ビジネスマンを対象とするものをいいます。
シティホテル…ホテルのうちリゾートホテル、ビジネスホテル以外の都市部に立地するものをいいます。

国土交通省観光庁『宿泊旅行統計調査 記入要領(第1号様式)』 より引用

これは宿泊旅行統計調査と呼ばれるもので、全国の宿泊旅行の実態を把握する目的で観光庁が毎月実施している統計調査です。
先の辞書よりは明確に定義されている感じがしますが、それでも依然曖昧さは残ります。


結論として、厳格に使い分けられるだけの定義はなされていないということが分かります。
観光庁が記載している3種の分類として示されている条件や特徴に当てはめ、更にそのホテルが持つ特色や立地などから総合的に判断して分類することになります。

ビジネスホテルの特徴

まずは「ビジネスホテル」として分類されるホテルの特徴について見ていきましょう。
※一般的な特徴です。必ず全ての条件が当てはまるわけではありません。

【対象とする客層】
・出張の会社員(ビジネスマン)
【宿泊料金】
・リーズナブルな価格帯。時期や立地によって変動あり。
・1泊/5,000円以下(1人)で宿泊出来る場合もある。
【立地】
・駅直結、もしくは駅から徒歩数分圏内。
・徒歩圏内にコンビニエンスストアがある。
【ホテルの設備】
・自動チェックイン(アウト)機や自動販売機(お酒含)、洗濯機や乾燥機など、仕事(出張)で宿泊するビジネスマンにとって重宝されがちな設備は一通り揃っている。
・バー(BAR)や大浴場といった施設は備えていないところが多い。
・朝食や夕食をとれる飲食施設(フードコートのようなところ)が備えられている。
・1階にコンビニエンスストアが併設されている。
【部屋】
・シングルタイプが主だが、ダブルやツインも併設されている。
・部屋の広さは最低限。ベッドと汎用の机、トイレ(バス)のみの構造。
・スイートやスーペリアといった高価格帯の部屋は設置されていない。

ビジネスホテルのイメージ



ビジネスホテルは、その主要顧客が出張ビジネスマンである為、ビジネスマンに向けた利便性を最重視したサービスが主流です。
部屋の中もシンプルかつコンパクトで、部屋のほとんどをベッドが占めているというイメージが近いでしょう。
アメニティも、自分にとって必要なものをホテルのフロント階で自分で選択して部屋に持っていく、という形式が増えている印象です。
サービスは必要最小限、部屋も少々コンパクトかもしれませんが、それを踏まえて設計された機能的な構造になっている為、宿泊するうえで不便や居心地の悪さを感じるといったことはありません。
着替え用の服さえ持っていれば、あとは手ぶらでも不自由なく宿泊出来る程度の設備が備わっているのはビジネスホテルの大きなメリットの一つであると個人的には感じています。

シティホテルの特徴

次に、シティホテルと呼ばれるホテルの特徴をみていきます。
※一般的な特徴です。必ず全ての条件が当てはまるわけではありません。

【対象とする客層】
・旅行(観光)客、ビジネスマン、など幅広い層。
【宿泊料金】
・やや高価格帯。
・1人1泊/10,000円前後から、上は数十万円という価格もある。
【立地】
・都心部の中心や小高い丘の上といった眺望の良い場所など。
・広い敷地や中庭などの外構施設が充実し、ホテル自体も大きな建物。
【ホテルの設備】
・スタッフや客室係、ベルボーイやコンシェルジュなど有人サービスが充実。
・豪華で開放的なフロントや、くつろげる広いロビー。
・高級レストランやBAR、カフェやプール、会議室や宴会場などを複数備える。
【部屋】
・シングルからダブル、スーペリアやスイートまで多様なタイプを揃える。
・部屋は広くゆとりがある。基本設備の他、ドレッサーやソファがある場合も。

シティホテルの部屋はピンキリ。もっと広い部屋も多い

観光庁の定義からも分かりますが、いわゆる「ビジネスホテル」の特徴に当てはまらないホテルを全般的に「シティホテル」と分類します。
つまり、シティホテルという分類は広く多様な種類のタイプのホテルが含まれるということです。
その特徴は端的にいえば、どちらかといえば「休息や睡眠」をとることに特化させているビジネスホテルに対し、シティホテルはホテルに滞在している時間それ自体に価値を感じてもらうことを主眼に置いているともいえるでしょう。
都心部にあって、ホテルの建物自体が大きく、併設されている施設の数も多く高級な店舗が含まれているといったホテルであればシティホテルと分類出来ます。

冒頭でも記載した通り、ビジネスホテルもシティホテルも完全に厳格に定義分けされていない部分もあります。
実際、ビジネスホテルでもややグレードの高い部屋やサービスを備える場合がありますし、シティホテルでもビジネスマンの出張用途として比較的リーズナブルな部屋を用意しているところもあります。

ビジネスホテルとシティホテルの特徴比較

ビジネスホテルとシティホテルの特徴を表でまとめてみましょう。
全てのホテルが明確に区分出来るわけではなく、また、ビジネスホテルとシティホテルの両方の特徴をどちらも備えているホテルも近年は増えてきています。
あくまでも参考程度に捉えるのがよいかもしれません。

ビジネスホテルシティホテル
対象とする客層出張の会社員(ビジネスマン)旅行(観光)客、ビジネスマン、など幅広い層
宿泊料金・リーズナブルな価格帯。時期や立地によって変動あり。
・1泊/5,000円以下(1人)で宿泊出来る場合もある。
・やや高価格帯。
・1人1泊/10,000円前後から、上は数十万円という価格もある。
立地・駅直結、もしくは駅から徒歩数分圏内。
・徒歩圏内にコンビニエンスストアがある。
・都心部の中心や小高い丘の上といった眺望の良い場所など。
・広い敷地や中庭などの外構施設が充実し、ホテル自体も大きな建物。
ホテルの設備・自動チェックイン(アウト)機や自動販売機(お酒含)、洗濯機や乾燥機など、仕事(出張)で宿泊するビジネスマンにとって重宝されがちな設備は一通り揃っている。
・バー(BAR)や大浴場といった施設は備えていないところが多い。
・朝食や夕食をとれる飲食施設(フードコートのようなところ)が備えられている。
・1階にコンビニエンスストアが併設されている。
・スタッフや客室係、ベルボーイやコンシェルジュなど有人サービスが充実。
・豪華で開放的なフロントや、くつろげる広いロビー。
・高級レストランやBAR、カフェやプール、会議室や宴会場などを複数備える。
部屋・シングルタイプが主だが、ダブルやツインも併設されている。
・部屋の広さは最低限。ベッドと汎用の机、トイレ(バス)のみの構造。
・スイートやスーペリアといった高価格帯の部屋は設置されていない。
・シングルからダブル、スーペリアやスイートまで多様なタイプを揃える。
・部屋は広くゆとりがある。基本設備の他、ドレッサーやソファがある場合も。

最後に

ホテルの分類には明確な定めはありません。
シティホテルであるかビジネスホテルであるかというのは、宿泊先を選定するうえで欠くことの出来ない要素というわけではないということです。
ただ、両者の概ねのイメージを理解出来ていることで、宿泊先の設備をなんとなくでも予想することは出来るかもしれません。
例えば、選んだ宿泊先がビジネスホテルの特徴を持っているのであれば、その宿泊先が提供するサービスの中身や設置されている設備の種類・数などについてなんとなくでも想像しやすくなりますね。

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