飛行機×モバイルバッテリー:100Wh/160Whの壁と“見える場所”の新常識!?
飛行機での旅行や出張に、スマホの充電を守るモバイルバッテリーはもはや欠かせない相棒ですよね!
でも、その使い方、本当に今のままで大丈夫でしょうか?
実はここ最近、モバイルバッテリーの機内ルールが世界的に大きくアップデートされているんです。
「いつも通り機内でスマホを充電するだけだから大丈夫」と思っていると、もしかすると気付かないうちにルール違反になってしまっているかもしれません。
特に注目したいのが、2026年4月24日から日本でも施行された新ルールです。
これは国際民間航空機関(ICAO)が定める国際基準の緊急改訂を受けたもので、法令に基づく明確なルールへと一気にステップアップしました。
ポイントは大きく3つ。
- 機内に持ち込めるモバイルバッテリーは1人2個まで(160Wh以下に限る)
- 機内電源からモバイルバッテリーへの充電は禁止
- モバイルバッテリーからスマホなどの電子機器への充電も禁止
特に大きな点が、「機内でモバイルバッテリーを使ってスマホを充電する」という行為そのものが原則として認められなくなったという点です。
ルール違反となった場合には航空法に基づく罰則(2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)が科される可能性もあるので、十分な注意が必要といえるでしょう。

そこでこの記事では、2026年4月24日からの新ルールに準拠した、最新版のモバイルバッテリー機内持ち込みガイドとしてまとめ直しました。
基本となる「預け入れ不可、機内持ち込みが原則」というおさらいから、「結局、機内では何ができて何ができないの?」という具体的な扱い方、ちょっと面倒な「mAh→Wh」の計算方法、そして違反した場合のリスクまで、旅の安心に直結する情報をギュッと詰め込んでいます。

今までと何が変わったの?

機内では本当に充電できないの?じゃあどうすればいいの?
そんな疑問を、この記事で最新ルールをサクッと知ってもらうことで解消させて、モバイルバッテリーを安心して旅に持っていけるようにしましょう。
2026年4月24日からの新ルール ―― 機内での充電は原則NGに

冒頭でも触れた通り、2026年4月24日(金)から、モバイルバッテリーの機内持ち込みに関する新しいルールが日本でも施行されました。
これは国際民間航空機関(ICAO)が定める国際基準の緊急改訂を受けたもので、国土交通省が「航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示」等を改正して対応したものです。
これまでの「お願いベース」だったルールから、法令に基づく明確な義務へと一気にギアを上げた、大きな改定となりました。


新ルールの3つのポイント
新たに追加されたルールは、以下の3点です。
- 機内持込みのモバイルバッテリーは2個(160Wh以下に限る)まで
- 機内において、機内電源等からモバイルバッテリーへの充電をしないこと
- 機内において、モバイルバッテリーから他の電子機器への充電をしないこと
特に2つ目と3つ目のポイント、つまり「機内での充電行為そのものが禁止」というのが、今回の改正で最もインパクトの大きい変更点です。
これまでは「機内でモバイルバッテリーを使ってスマホを充電する」というのは旅の中で比較的よく見る光景でしたが、新ルール施行後はそれができなくなります。
「えっ、長時間フライトの間どうすればいいの!?」と思われる方も多いと思いますが、結論からいえば、機内ではモバイルバッテリーは”ただ持っているだけ”の状態にしておくのが基本となります。
スマホやタブレットを充電したい場合は、座席に備え付けのUSBポートやコンセントを直接使うか、あるいは出発前に空港のラウンジや待合エリアでしっかり充電を済ませておくのが、新ルール下での正解です。

注意したいのが、ANAやJALといった日系大手は座席にUSBポートやコンセントが装備されている機材が多いですが、LCCや一部の小型機ではこうした設備がない場合があるということです。
搭乗前に、自分が乗る機材に充電設備があるかを公式サイトで確認しておくと安心ですね。
新ルールが生まれた背景 ―― なぜここまで厳しく?
ここまで読んで、「ちょっと厳しすぎない?」と感じた方もいるかもしれません。
しかし、この急ピッチでのルール改正には、実は世界的な背景があります。
ずばり、世界的なリチウム電池火災インシデントの急増です。
2025年1月、韓国・金海空港で発生したエアプサン航空機の機内火災事故。
これは、後の調査でモバイルバッテリーからの発火が原因である可能性が指摘されています。
また、日本国内でも、2025年10月には那覇発羽田行きのANA994便で乗客のモバイルバッテリーが発火・発煙する事案が発生しました。
製品評価技術基盤機構(NITE)の調査によれば、モバイルバッテリーによる事故件数は2020年の47件から2024年には123件へと、わずか4年で約2.6倍に急増しています。

こうした世界的な事故の多発を受け、ICAOが2026年3月27日に国際基準の緊急改訂を承認・即日適用。
日本でも国土交通省が約1ヶ月後の4月14日に新ルールを正式発表し、わずか10日後の4月24日から施行という、異例のスピード対応となりました。
リチウム電池のトラブルは、何より「早期発見」が命です。
新ルールは、機内でモバイルバッテリーを使う機会そのものをなくすことで、トラブル発生のリスクを根本から下げよう、という考え方に基づいているんですね。
違反した場合の罰則 ―― お願いから法令へ
ここでもう一つ、覚えておきたい大事なポイントがあります。
それは、今回の新ルールが航空法に基づく法令上の義務であり、違反した場合には罰則が科される可能性があるということです。
具体的には、以下の3項目に違反した場合、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
- 機内持ち込み個数の上限(2個まで)の超過
- 容量上限(160Wh)の超過
- 機内電源からモバイルバッテリー本体への充電
これまでの「○○しましょうね」「○○にご協力ください」というお願いベースから、「違反すれば罰則対象」というはっきりとした法令へと、ルールの性質が大きく変わったというわけです。

「知らなかった」では済まされない場面もあるかもしれません。
特に、これから旅行や出張で飛行機を利用する予定の方は、必ず新ルールを確認しておきましょう!
航空運送事業者各社の動き
この新ルールは、日本発着の全便(国内線・国際線・LCC・外国航空会社含む)が対象となっており、すでに国内の航空運送事業者各社が公式に対応を発表しています。
一例として数社ご紹介させていただきます。

モバイルバッテリーの基本ルール

モバイルバッテリーについての「見える場所で使う」という新しい常識を紹介しました。
ここで一旦、世界中の航空会社が準拠している“大前提”となる基本ルール3つについてもおさらいしておきましょう!
飛行機に乗る際の保安検査場で「没収です」なんて言われて慌てないためにも、しっかり押さえておきたい旅の基本知識の一つです。
基本ルール①:航空機への預け入れは不可!機内持ち込みのみ可!
まず最も重要な国際標準として、「モバイルバッテリーは、スーツケースなどに入れて預け入れ荷物とすることはできない」というルールがあります。
ー参考:国際航空運送協会(IATA)「Battery Guidance Document」(※英語)
航空運送の世界では、モバイルバッテリーは「予備電池(spare battery)」という名称の分類として扱われます。
これは簡単にいえば「危険物」という扱いとなり、航空機の貨物室へ搭載する「預け入れ荷物」としての扱いが出来ません。
従って、自身の手荷物に収納するなどして航空機の座席へ持ち込む「機内持ち込み手荷物」とする必要があります。
間違って、スーツケースに収納したまま預け入れ荷物として預けることのないように注意しましょう。
保安検査場を通過してあとは搭乗を待つのみというタイミングで、急に放送で名前を出して荷物の中身の確認の為に呼び出されてしまう、なんてことにならない為にもしっかり注意しましょう。
なぜ「貨物室」がダメなの?
「機内に持ち込めるなら、貨物室でもいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
ここには、飛行機ならではの構造上の理由があります。
旅客用の航空機は、保安上の理由から、客室(座席のあるフロア)と貨物室の間を飛行中に行き来できない構造が一般的です。
もちろん、貨物室には万が一の火災などに備えた自動消火装置がきちんと備えられています。
しかし、自動消火装置が作動した後に「本当に完全に火が消えたのか」を人の目で直接確認しに行くことができません。
そのため、もし貨物室内でモバイルバッテリーが発火などのトラブルを起こした場合、その航空機は最寄りの空港に緊急着陸せざるを得なくなります。
一方、客室であれば、乗客自身や客室乗務員がバッテリーの異常にすぐ気づくことができ、その場で対処することが可能です。
「預け入れ不可・機内持ち込みのみ」というルールは、「万が一のトラブルに、人の目と手で即座に対応できる場所に置いておく」という考え方に基づいているんですね。
この考え方は、この記事の冒頭で紹介した2025年7月からの新ルール「見える場所で管理する」とも根っこでつながっています。
貨物室という「見えない場所」がダメなのと同じ理由で、座席上の収納棚やカバンの奥深くという「見えにくい場所」もダメ、というわけです。

ここまで読んで、こんな疑問を持った方もいるのではないでしょうか。
「モバイルバッテリーが預けられないのは分かった。でも、スマホやノートPCにもリチウムイオン電池が入っているのに、そっちは預け入れOKなの?」
実はこれ、航空安全の世界では、モバイルバッテリーとスマホ・ノートPCは「別の分類」として扱われていることが理由なんです。
モバイルバッテリーは、他の機器を充電するための電池そのものであることから「予備電池(spare battery)」に分類されます。
一方、スマホやタブレット、ノートPC、デジタルカメラなどは、電池を内蔵してはいるものの、あくまで「携帯型電子機器(portable electronic device)」という別の分類です。
簡単に整理すると、こんなイメージです。
| 分類 | 具体例 | 預け入れ | 機内持ち込み |
|---|---|---|---|
| 予備電池 | モバイルバッテリー | ×不可 | 〇可能(容量制限あり) |
| 携帯型電子機器 | スマホ、ノートPC、タブレット等 | 〇可能 | 〇可能 |
「充電すること自体が目的の機器(=予備電池)」なのか、「電池を内蔵しているけれど、機器としての機能を持つ製品(=携帯型電子機器)」なのか。
この違いによって、航空機における取り扱いが変わるというわけですね。
ただし一点だけ注意があります。
携帯型電子機器であっても、内蔵されているリチウムイオン電池の容量が160Whを超える場合は、モバイルバッテリーと同様に預け入れも持ち込みも不可となります。
一般的なスマホやノートPCでこの容量を超えることはまずありませんが、大型のポータブル電源などを旅に持っていく場合には念のため確認しておきましょう。
基本ルール②:個数と容量にも制限がある!
前の章で「機内に持ち込めるモバイルバッテリーは1人2個まで」とお伝えしましたが、ここでそのルールをもう少し詳しく見ていきましょう。
より厳密には、モバイルバッテリーの機内持ち込みには、「個数」と「容量」の両方に制限が設けられています。
ここも、2026年4月24日からの新ルールでこの内容が大きく変わったので、最新版に整理してご紹介していきます。
2026年4月24日以降の新ルール ―― 容量にかかわらず1人2個まで
まず、もっとも大きな変更点はここです。
シンプルですよね。
これまでは、「160Wh以下なら何個でもOK」だったのですが、これが「1人2個まで」と、はっきりとした上限が設けられました。
従来は、容量が小さいバッテリー(100Wh以下)であれば「合理的な数量」という曖昧な表現で、理屈としては複数個の持ち込みも可能でしたが、新ルール以降は容量の大小にかかわらず1人2個までという明確な上限が設けられました。

「家族旅行で家族皆のバッテリーをお父さんやお母さんが代表でまとめて持っていく」
というのも、新ルールを文字だけで読めばNGとなる可能性があります。
1人につき2個までという制限なので、家族や同行者がいる場合は、それぞれの機内持ち込み手荷物に分散させて持っていただく必要があるかもしれません。
まあ、航空会社のスタッフの方にしっかり説明すれば、一人当たりの数に収まる限りは、許可してくれる可能性もあるような気もしますが・・・
バッテリー容量の上限「160Wh」とは?
個数の制限に加えて、もう一つきちんと覚えておきたいのがモバイルバッテリーの「容量」の上限です。
| モバイルバッテリーの容量 | 機内持ち込み | 預け入れ |
|---|---|---|
| 100Wh以下 | 〇可能 (※1人合計2個まで) | ×不可 |
| 100Wh超 ~ 160Wh以下 | 〇可能 (※1人合計2個まで) | ×不可 |
| 160Wh超 | ×不可 | ×不可 |
このように表にすると分かりやすいですが、160Whを超えるモバイルバッテリーは、機内持ち込みも預け入れも完全に禁止となります。

160Whなんて、自分のバッテリーがそれに該当するかどうか、ぱっと見では分からないんだけど……
と思われる方もいるかと思いますが、ご安心ください!
市販されている一般的なモバイルバッテリー(10,000mAh〜30,000mAh程度)であれば、基本的には160Whを超えることはあまりありません。
具体的な計算方法は後のセクションでご紹介しますが、現時点では「よほどの大容量モデルでなければ大丈夫」と覚えておいていただければOKです。
ただし、最近はキャンプや車中泊用の大型ポータブル電源をはじめとして、持ち運べるサイズで500Wh〜1,000Wh級の大容量モデルも普及してきています。
こうした製品は当然160Whを大きく超えますので、機内持ち込みも預け入れも一切できません。
旅先で必要な場合は、現地で調達するか、宅配便などで事前に送る方法を検討する必要があります。

「予備電池(予備バッテリー)」との合算ルールに注意
ここでもう一つ、新ルール下で見落とされがちな注意点をご紹介します。
それが、モバイルバッテリーと「予備電池(予備バッテリー)」の合算ルールです。
「予備電池(予備バッテリー)」というのは、デジタルカメラやノートPCなどの機器に使う交換用のリチウムイオン電池のこと。
新ルール下では、モバイルバッテリーと予備電池(予備バッテリー)(100Wh超〜160Wh以下)を合計して1人2個までというカウントが適用されます。
| 機内持ち込みパターン | モバイルバッテリー | 100Wh超の予備バッテリー |
|---|---|---|
| パターンA | 2個 | 0個 |
| パターンB | 1個 | 1個 |
| パターンC | 0個 | 2個 |
つまり、「モバイルバッテリーを2個持ち込んだ場合、100Wh超の予備電池(予備バッテリー)は0個(持ち込み不可)」ということになります。
カメラを趣味にしているなど大容量予備電池を複数持ち歩く必要がある方は、特に注意が必要なポイントとなりそうですね。
なお、100Wh以下の小型予備電池(バッテリー)については、この2個制限の対象外となり、引き続き「合理的な数量」であれば複数持ち込みが可能です。
一般的なデジタルカメラやスマホ用の予備バッテリーは大半が100Wh以下なので、ここはあまり心配する必要はないでしょう。

容量の単位 ―― 「Wh(ワット時定格量)」を確認しよう
ここまでで「100Wh」「160Wh」という数字を何度も使ってきましたが、この「Wh(ワット時定格量)」は、モバイルバッテリーの容量を判断する為の基準値(数値)です。
「Wh」とは「Watt-hour(ワットアワー)」の略で、そのバッテリーが「何ワットの電力を、何時間出し続けられるか」を表す単位です。
たとえば「100Wh」のバッテリーであれば、「100Wの電力を1時間出し続けられる」または「50Wの電力を2時間出し続けられる」といったイメージですね。

ただし、ここで一つ困った問題があります。
日本国内で市販されているモバイルバッテリーの多くは、容量表示として「Wh」ではなく「mAh(ミリアンペアアワー)」で記載されているんです。

自分のバッテリーは10,000mAhと書いてあるけど、これって何Wh?
と悩んでしまうこともあるかもしれません。
後半の章で、この「mAh」表示から「Wh」としての容量への計算方法を、具体例を交えてご紹介していきますので、そちらもご覧ください。

(※写真は例)
ここまで紹介してきた容量や個数の基本ルールは、国際的な航空安全基準に基づいている為、国内線も国際線もほぼ同じものと考えて大丈夫です。
「国際線だからといって全く別のルールになる」ということは基本的にはありません。
ただし、保安検査の”厳しさ”には差があるという点は覚えておくとよいでしょう。
一般的に、国際線は国内線に比べて保安検査の基準がより厳格に設定されています。
これはルール自体の違いというよりも、検査機器の性能や検査方法のレベルが国際線のほうが高い(厳しい)設定になっているということです。
具体的には、モバイルバッテリーの容量表示を実物で見せることを求められるケースが国際線では多くなります。
「mAhの表示はあるけどWhの表示がない……」という場合や、表示が擦れて読みにくくなっている場合などは、国内線よりも確認に時間がかかったり、説明を求められる可能性がやや高くなるといえます。
さらに、空港や航空会社によっては、通常の保安検査を通過した後、搭乗ゲートの直前で再度荷物検査(ゲート前検査)が実施されることもあります。
「保安検査は通過できたのに、搭乗直前でまた確認された!」と驚かないように、モバイルバッテリーはすぐに取り出せる場所に入れておくのがスマートです。
もちろん国内線でも同様の確認を求められることはありますが、国際線を利用する場合は特に、容量がひと目で分かる状態にしておくことを意識しておくと安心です。
基本ルール③:端子の保護(短絡防止)が必要!
3つ目のルールは、端子の保護(短絡防止)です。
これは2026年4月24日からの新ルール施行前から続いている既存のルールですが、新ルールとしても引き続き残っているので、しっかり確認しておきましょう。
むしろ、新ルールが目指す「機内での発火・発煙リスクの低減」と、この端子保護の目的(ショートによる発火防止)は根っこの部分で同じ、ともいえるかもしれません。
「短絡(ショート)」って何が起きるの?
そもそも「短絡(ショート)」とは、バッテリーのプラス端子とマイナス端子が金属などを介して直接つながってしまうことを指します。
本来は電気回路を通って流れるはずの電流が、抵抗の少ない経路を一気に流れてしまうため、急激な発熱を引き起こし、最悪の場合は発火・発煙・爆発につながる可能性があります。
特に注意したいのが、モバイルバッテリーをバッグやポーチの中で他の金属類と一緒に持ち運ぶケースです。

こうしたことが、確実ではないとしても、短絡、つまりショートを引き起こす原因になりえます。
家庭でも気を付けたいシチュエーションですが、ましてや密閉された機内でこれが起きると、被害が拡大しやすく非常に危険ですね。
具体的にはどうすればいい?
ANAや国土交通省の公式案内では、以下のような対策が推奨されています。
- 端子部分にテープを貼って絶縁する
- バッテリーを専用のケースやビニール袋に1個ずつ入れる
- 他の金属類(鍵・コイン・ケーブル等)と分けて収納する
- 複数のモバイルバッテリーを持ち運ぶ際は、それぞれを個別に包む
専用のケースは100円ショップでも手に入りますし、各メーカーから「難燃素材」を使用した専用ポーチなども販売されています。
私自身も旅の際は、モバイルバッテリーは必ず専用の小さなポーチに入れて、他の荷物と分けて持ち運ぶようにしています。
ちょっとした手間ですが、これだけで火災リスクをぐっと下げることができますので、ぜひ取り入れてみてください!

テープの貼り方の説明ではなく、このような貼り方を推奨している意図ではありません。

預け入れができない理由とも繋がっている
ちなみに、このショート防止の考え方は、「モバイルバッテリーを預け入れ手荷物に入れてはいけない」というルールとも深く繋がっています。
預け入れ手荷物は、輸送中にどうしても衝撃や圧迫を受けやすく、端子の絶縁が外れたり、内部にダメージを受けやすい環境です。
万が一ショートして発火しても、貨物室では人の目が届かないため発見が遅れる ―― これが「機内持ち込みのみ可・預け入れ不可」というルールの根本的な理由でもあるんですね。

新ルール、既存ルール、いずれも目指しているのは「安全な空の旅」。
ちょっとした手間を惜しまず、ルールを守って気持ちよく飛行機を利用したいですね。
バッテリー容量の基準は「Wh」!
「mAh」から「Wh」へ計算する方法

さて、ここからは、モバイルバッテリーの容量を確認する方法について見ていきましょう。
改めて自分が持っているモバイルバッテリーを調べてみると、「容量の表示がmAh(ミリアンペアアワー)でしか書いてない」という方が結構いるかと思います。
ここまで紹介してきたように、航空機への持込み可否を判断するのはあくまでも「Wh(ワットアワー)」という単位です。
ところが、モバイルバッテリーの多くは、容量表示を「Wh(ワットアワー)」ではなくて「mAh(ミリアンペアアワー)」表としています。
そうなると、「mAh」から「Wh」への変換(計算)が必要となります。
ただ、計算はそんなに難しいものではないので安心を!
早速見ていきましょう!

※画像はイメージです。

※画像はイメージです。
計算式と実例(Wh=Ah×V/mAh→Ahへの変換)
モバイルバッテリーの容量(Wh)は、以下の計算式で簡単に求められます。
Wh = ( 容量(mAh) × 電圧(V) ) ÷ 1000
ここで使う「電圧(V)」とは、モバイルバッテリーに記載されている「定格電圧」という数値を見てください。
一般的なリチウムイオン電池の場合、3.6Vまたは3.7Vで計算されていることがほとんどです。
似た表記で5Vや9Vといった「出力」や「入力」の電圧表記もあるのですが、これらではなく「定格電圧」の数値で計算するようにしましょう。

実例
では、式を使って、よくある容量のモバイルバッテリーが何Whになるのか、実例を見てみましょう。(※ここでは電圧を3.7Vとして計算します)
【例1】10,000mAh の場合
10,000(mAh) × 3.7(V) ÷ 1000 = 37Wh
【例2】20,000mAh の場合
20,000(mAh) × 3.7(V) ÷ 1000 = 74Wh
【例3】26,800mAh の場合
26,800(mAh) × 3.7(V) ÷ 1000 = 99.16Wh
このように、簡単に計算できるので、飛行機での出張や旅行が多い方は特に、モバイルバッテリーを購入する際など、mAhの数値だけしかない場合は、購入前にしっかりこの計算式でWhをチェックしておくと安心です。
いくら「mAh」の数値が大きい場合であっても、計算して「Wh」が100Whや160Whの基準を超えていなければ基本的にはOKです。
必ず「Wh」を基準に判断することを忘れないでください!
計算方法は分かったけれど、そもそもモバイルバッテリーの本体にmAhもVもWhも、数値の記載自体が見当たらないということもあり得ます。
長く使っている製品だと、印字が擦れて読めなくなっていたり、シールが剥がれてしまっていたりすることもありますよね。
まず試したいのは、製品の型番や商品名からメーカーの公式サイトで調べる方法です。
大抵の場合は製品ページにスペックが掲載されているので、そこで容量を確認できることが多いでしょう。
それでも見つからなければ、メーカーに直接問い合わせてみるのも一つの手です。
ただし、ここで注意しておきたいのが、こうした事前確認をしないまま空港に行ってしまった場合のリスクです。
容量の記載がなく正確な数値が判別できないモバイルバッテリーは、航空会社によっては機内持ち込みも預け入れも認められない可能性があります。
そうなってしまうと、せっかく旅に持っていこうとしたモバイルバッテリーを、搭乗前に泣く泣く手放すことになりかねません。
国内の航空会社などでは、商品名や型番から容量を調べてくれるといった親切な対応をしてくださることもあるようですが、これはあくまでも特別な対応です。
「空港で聞けばなんとかなるだろう」とは考えず、出発前に自分で容量を確認しておくのが鉄則と心得ておきましょう。
旅の当日、保安検査場で「このバッテリーは持ち込めません」と言われてしまう――そんな残念な事態を避ける為にも、Whの確認は旅の準備リストに加えておくことをおすすめします。
モバイルバッテリーは「どこに置く?」
―― 機内での保管場所

ここまで読んできて、「機内では充電できないなら、モバイルバッテリーはどこに置いておけばいいの?」と気になっている方も多いと思います。
新ルール(2026年4月24日~)では機内でモバイルバッテリーを使った充電ができなくなりました。
しかし、機内に持ち込むこと自体は引き続きOKです。
むしろ「預け入れ不可・機内持ち込みのみ可」というルールは変わっていないので、機内に持ち込むからには「どこに置いておくか」というのは依然として大事なポイントになります。
そこでこの章では、新ルール下での正しいモバイルバッテリーの保管場所について整理していきましょう。
座席上の収納棚はNG
まず、絶対に避けなければならないのが座席上の収納棚(オーバーヘッドビン)です。
国土交通省の最新案内でも、はっきりと「座席上の収納棚に収納せず、座席ポケットなどお手元に保管してください」と明記されています。


「収納棚の中にしまっておけば、邪魔にならないし便利じゃないか」と思うかもしれません。
しかし、ここに保管してしまうと、万が一バッテリーに異常が発生した際に発見が遅れるという大きなリスクがあります。
発煙や発火が始まっていても、収納棚の中では誰も気づかず、初期対応が遅れる ―― これはリチウムイオン電池が引き起こす機内火災の典型的なパターンです。
実際、2025年1月に韓国・金海空港で発生したエアプサン航空機の機内火災事故でも、収納棚の中で他の荷物に圧迫されたモバイルバッテリーが発火したことが原因の可能性として指摘されています。
27人が負傷した深刻な事故で、こうした事例の積み重ねが「収納棚への収納禁止」というルールの根拠になっているわけです。
推奨される保管場所
では、具体的にはどこに置けばいいのでしょうか?
- 座席前のシートポケット(網ポケット)の中
- 座席下の足元に置いたバッグの中
- 自分の膝の上または手元
- 体に近いボディバッグやウエストポーチの中
ポイントは、「常に自分の目が届く範囲」「すぐに手で取り出せる範囲」で保管すること。
シートポケットは多くの方が利用しやすい定番の保管場所ですが、満員のフライトで座席前のスペースが手荷物で埋まっている場合は、膝の上やボディバッグなど、より体に近い場所を選ぶといいでしょう。


筆者は、機内に持ち込むバッグの取り出しやすい外ポケットにモバイルバッテリーを入れて、座席前の足元に置いて管理することが多いです。
カバンの奥にしまい込んでしまうと、結局すぐ取り出せないので、保安検査と同じくらい「サッと出せる位置」を意識しておくのがおすすめです!
なぜ「目に見える場所」が大事なの?
「収納棚もダメ、奥深くもダメ、見える場所に置いて」というルール、ちょっと厳しく感じるかもしれませんが、これにはちゃんとした理由があります。
それは、リチウムイオン電池のトラブルは早期発見が最も重要だからです。
モバイルバッテリーに使われているリチウムイオン電池は、衝撃や圧迫、過熱などのストレスがかかると「熱暴走」と呼ばれる連鎖的な発熱反応を起こすことがあります。
熱暴走は一度始まると自力では止まらず、最終的には電池ケースが破裂し、可燃性ガスが噴出して発火・炎上に至ります。
ここで重要なのが、「最初の異変(発熱・膨張・変な臭い)の段階で気づければ、被害を最小限に抑えられる」ということ。
逆に、収納棚の中などで誰の目にも触れない場所だと、異変に気付いた時にはすでに発火が始まっていた、というケースもあり得ます。
保管場所のルールは、いわば「人の目」という最も信頼性の高いセーフティセンサーを、モバイルバッテリーの近くに置いておくための工夫といえるでしょう。
ここまで「目の届く場所で保管しましょう」とお伝えしてきましたが、ひとつ大事な注意点があります。
それは、新ルール下では「充電目的でモバイルバッテリーを取り出す」こと自体がNGだということです。
旧ルール(2025年7月8日~)の時代は、「見える場所で充電すればOK」という運用でしたが、新ルール(2026年4月24日~)以降は充電行為そのものが禁止になりました。
そのため、モバイルバッテリーは「持ち込んでいるけれど、使わずに保管しているだけ」という状態が、機内での正しい扱い方になります。
「じゃあ機内でスマホの充電がしたくなったらどうするの?」というのは、皆さんが一番気になるところだと思います。
これについては、後のセクションで詳しくご紹介していきますね。

機内でスマホを充電したい!
―― 新ルール下での正解は?

新ルール下で機内でのモバイルバッテリーからの充電ができなくなると、長距離フライトや乗り継ぎ便を利用する方にとっては、「スマホのバッテリーが持つかな……」と心配になりますよね。
特に、旅先での連絡手段、地図アプリ、電子チケットの表示など、現代の旅ではスマホの充電切れは死活問題。
ここでは、新ルール下で機内のスマホ充電をどう乗り切るか、3つの実践的な対策をご紹介します
一番のおすすめは「出発前にしっかり充電」
新ルール下での最強の対策は、何といっても搭乗前に手持ちの機器をしっかり充電しておくことです。
これはまあ、改めてご説明するほどのことでもないようにも思いますが、筆者はいつも以下のタイミングで充電を行うようにしています。
特に空港のターミナル内には、各座席にコンセントやUSBポートが整備されたエリアが年々増えています。
保安検査後にゲート前の充電スポットで満充電にしておけば、よほどの長距離フライトでない限り、機内でモバイルバッテリーに頼る必要はないはずです。


機内では「座席のUSB/コンセント」を活用
「短距離ならともかく、長距離フライトで充電が必要になったらどうするの?」という方に朗報です。
最近の航空機の多くは、座席に直接USBポートやコンセントが備え付けられている機材が増えてきました。
新ルール下では、機内で電子機器を充電したい場合は、この機内設備の電源を直接利用するのが正解。
モバイルバッテリーを介さず、機内のUSB/コンセントからスマホやタブレットに直接ケーブルを接続して充電するスタイルです。
主要航空会社の機内充電設備の整備状況で、データを確認出来たところを一例として紹介します。
| 航空会社 | 国際線 | 国内線 |
|---|---|---|
| JAL | 全75機に充電設備あり | 全71機中70機に充電設備あり |
| ANA | 全97機の全クラスにPC電源・USB Type-A装備 | 全135機中94機(70%)に装備、24機は装備なし |
| スカイマーク | ― | 全29機中24機にコンセント装備(うち3機はUSBも) |
JALの国際線はほぼすべての機材で充電設備が整っており、安心して利用できそうです。
ANAも国際線はすべての機材で対応している一方、国内線では一部の機材(DHC-8-400など)で設備がないものもあります。

機材によっては設備がない場合も ―― 事前確認を
注意したいのは、「同じ航空会社・同じ路線でも、運航される機材によって充電設備の有無が異なる」という点です。
特にLCC(格安航空会社)や小型機、就航から年数が経った機材では、充電設備が装備されていないこともよくあります。
- 各航空会社の公式サイトの「機内設備のご案内」ページを確認
- 予約時の機材情報から、装備の有無をチェック
- 公式アプリで搭乗便の機材詳細を確認
予約の段階で「自分が乗る機材に充電設備があるかどうか」を確認しておけば、当日の電源確保プランも立てやすくなります。
特に長距離国際線やLCC利用時は、この事前確認を習慣にしておくと安心です。
到着後の充電プランも考えておこう
意外と見落としがちなのが、到着後の充電タイミングです。
到着直後は、荷物受け取り、現地の交通機関の手配、国際線であれば入国手続きなど、スマホをフル稼働させる場面が一気に押し寄せます。
このタイミングでバッテリー残量が10%を切っていたら、地図アプリも電子マネーも使えず、まさに旅のスタートで詰むことに……。
- 到着空港の入国エリア・到着ロビーにある充電スポットを把握しておく
- ホテル到着までの移動中にスマホを節電モードに切り替える
- 海外旅行では現地用の電源プラグアダプターを必ず準備
- 重要な連絡先や地図情報は事前にスクリーンショットで保存しておく


「機内で充電できないなら、その分前後でしっかり充電する」というのが新ルール時代の旅のスタイル。
新ルール下でモバイルバッテリーは、機内では「お守りとして持ち運ぶだけ」。
実際に活躍してもらうのは**機外(空港や旅先)**というのが基本になります。
これまでの感覚をちょっとアップデートして、安心して旅を楽しみたいですね。
まとめ――
新ルール時代のモバイルバッテリーとの付き合い方

ここまで、2026年4月24日から日本でも施行されたモバイルバッテリーの機内持ち込み新ルールについて、詳しく見てきました。
最後に、新ルール下で押さえておきたいポイントをコンパクトに整理しておきましょう。
■新ルール下のモバイルバッテリー機内持ち込み・ポイントまとめ
| 項目 | 新ルール下での扱い |
|---|---|
| 預け入れ手荷物への収納 | 不可(従来通り) |
| 機内持ち込み個数 | 1人2個まで(160Wh以下に限る・新ルール) |
| 160Whを超えるバッテリー | 持ち込み・預け入れともに不可(従来通り) |
| 機内電源からバッテリーへの充電 | 禁止(新ルール) |
| バッテリーからスマホ等への給電 | 禁止(新ルール) |
| 座席上の収納棚への収納 | 不可(2025年7月~継続) |
| 推奨される保管場所 | 座席ポケット・手元など、目の届く範囲 |
| 端子の保護(短絡防止) | 必要(従来通り) |
こうやってまとめると沢山のルールがあるように見えますが、ざっくりまとめると、新ルール時代のモバイルバッテリーとの付き合い方は実はとてもシンプルです。

ルールが厳しくなったように感じるかもしれませんが、これは私たち全員の安全な空の旅を守るための大切な変更です。
出発前にこの記事の内容を一度チェックして、しっかり準備を整えておけば、何も心配することはありません。
安心して、楽しい旅の時間を過ごしましょう!
モバイルバッテリーに限らず、機内持ち込みに関するルールや旅のお役立ち情報は、他の記事でもご紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
■この記事について
この記事は、2026年4月24日から日本で施行されたモバイルバッテリーの機内持ち込み新ルールに準拠して、内容を全面的に改訂しました。
新ルールの内容は、今後の国際基準(ICAO・IATA)の動向や、航空各社の運用方針によって、さらに変更される可能性があります。
最新の情報については、ご利用予定の航空会社の公式サイトや、国土交通省の発表を併せてご確認いただくことをおすすめします。
参考リンク
・国土交通省「モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて」
・ANA「モバイルバッテリーの取り扱い変更について(2026年4月24日搭乗分より)」
・JAL「モバイルバッテリーの機内持ち込み個数および充電に関するルール変更についてのお願い(2026年4月24日以降)」
